あんたとあたし。




「なに、どーしたの?」

『いやさ、母さん、残業なんだって。』

「そうなの?珍しい。」

『で、今日に限って、この家、なんもねーの。』

「何もって、食べ物が??」


 あたしは、はぁっとため息をついた。


「あのね、ものははっきり言わないと。」


 電話の向こうで、「なんだよそれ」という、祥志。


「要するに、腹が減ったから帰って来いって言いたいんでしょ。」


 そう。この男、料理が全くもってできない。
 カップラーメンはまだしも、インスタントのお湯を張るラーメンからできない。

 なぜか、鍋から泡を吹くのだ。手の付けようがない。



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