あんたとあたし。





「そのうち・・・そのうち言うから。」

「啓が言おうと思った時に言ってくれればいいよ?」


 クスクスと笑いながら、あえて疑問形にした。その方があたしらしい。


「ごめん。俺戻るわ。」


 啓と同じ、サッカー部の子が啓の名前を呼んだから。
 少しだけ、振り返って、「じゃ。」と手を振り、走って行った。


 …結局、なんだったんだろう。


 大して気にも留めずに、彩(サエ)の待つ、校門前に向かう。


 さっきまで、短い会話を交わした啓は、部員のこと楽しそうに話していた。
 
 その向こうでは、野球部が、練習をしてた。濃い黒で書かれた、1番の背番号がはっきりと見えた。




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