心の隙間風
心の闇



小学校、中学校共に友達が多い訳ではなかった。しばしばいじめにも合った。


だから、私のことを誰一人として知らない高校に入る、と小学校六年生の時からぼんやりとしかし強く心に決めていた。


私はその時の決心通り私の学区からは誰一人として行かない私立の高校に入学し、そしてそれが私を大きく変えることになった。




「長野里穂です。よろしくお願いします」


入学式が終わった後の最初のホームルームは主に自己紹介の時間だった。


小さく頭を下げて席に着くと、皆合点がいったような顔をした。


何故長野なのに高橋さんの後にいるのだろうか、という疑問が解けたからであろう。


私の名字は長野と書いてちょうの、と読む。漢字だけでは何時もながの、と呼ばれてしまう運命。


後ろの寺内君が何か面白いことを言って皆を笑わせたみたいだが、私の耳には入ってこない。


このクラスでやっていけるのだろうかという一抹の不安。


しかし、過去の私を知っている人は居ないし高校から心機一転頑張ろうと、心に決めた。


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