風神I
「誰にやられた。」
突然の風雅の言葉に手が止まった。
「誰にもやられてないよ、階段で滑っただけだから。」
怪しまれないようにと思い、平然を装いながら言う。
「本当か。」
風雅は疑り深く聞いてくる。
「本当だよ。こんなことで嘘ついてどうすんの。」
あたしは食べ終わったヨーグルトのからをゴミ箱に捨てた。
「…何かあったら言え。」
風雅は少し考えたあと、あたしの頭をポンポンと叩いた。
「うん。」
あたしはその言葉しか言い出せなかった。