DIABOLOS~哀婉の詩~
崩壊
街並み、城へと続く道、城壁、城内全てが美しかった。そんな場所が、今では地獄と化していた。そこら中から、生臭い血の臭い、もう消えることはないのだろうか。あちこちにあった屍は、手厚く葬った。ほとんどの民が消えていった。サンティの灰も、あの丘から吹く優しい風に捧げた。まだ、多くの闇に住人が我々の国を狙って、密かにこちらを窺っている。あの戦で逃げ帰った闇の住人が、我々の存在を知らせたのであろう。数千、数万の闇の住人が我々の国に向かってくるのだ。
我々は、ついに5人になってしまったのだ。人知を超える存在、結局は失敗だったのか。死んでいった兄弟たちは何のために生きてきたのだ。僕らに安息というものがあるのだろうか、あるとするならば、どうやって辿り着けるのか。誰か教えてくれ。そしてついに、我々にも覚醒が起ころうとしていた。トマス、タダイ、ヨハネ、ユダ、ルカ。年も近いこともあり、丘で遊んだり、酒を酌み交わしたりするのは、この5人ですることが多かった。トマスが、タダイが、次々と覚醒が始まる。ヨハネもユダも・・・・そして僕も・・・直接脳に響き渡る声、間違いなく自分の声だ、自分の意思で、発していないが確かに自分の声が聞こえてくる。コロセ・・・・コロセ・・・・・コロセコロセコロセコロセセコセコロセロセ・・・・・・
『ぅぅぅぅ・・・・・・・・・・・・あぁぁ!!!!!』
僕は声にならない叫び声を発した。さらに全身の血が沸騰しているように全身が熱い、燃えるように熱い。躰が引きちぎられそうになるほどの痛み。痛い・・・痛イ・・イタイ・・・壊れる・・・壊レル・・・・・コワレル・・・・僕はどうなるのだろう・・・・その時はそんなことを考える余裕もなかったんだ。
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