悲恋歌〜hirenka〜悲しい恋の唄。
「……はぁ」
アタシと【琢磨】を乗せたその車にため息が響く。
『まだ弘樹の事忘れられんのか…?』
そんな明らか沈んでいるアタシに【拓也】は
心配そうな表情で言う。
「うん…やっぱ弘樹くんしか無理。」
そんな2人の会話を後ろで黙って聞いている【琢磨】は口を開いた。
『弘樹って誰?』
【拓也】は不機嫌そうな態度で答える。
『真紀の忘れられん男や。お前には関係ない』
【琢磨】はそれは面白いと言ったような表情でまた口を挟む。
『へぇ〜、真紀にそんな相手がおったとわ…(笑)だから俺もフラれたんかな?弘樹とか言うヤツとど〜ゆう関係なん〜?まさか子持ちのおっさんとか言うなよ〜?って、それはさすがにないか〜(笑)』
面白そうにアタシをおちょくってくる【琢磨】にアタシはとうとうキレた。
「降りろよ」
『え?もしかして怒っとん?冗談や〜ん(笑)』
アタシは車を降り【琢磨】を思いっ切り車から引きずり降ろした。
『え?本間にいいよん?だってここ、どこかも知らんし俺帰れんようなるで?』
【琢磨】はアタシに助けを求めるかのような目で言う
「黙れゲス」
そう言ってアタシは【拓也】の車に戻り
「行って」
そう言って、もう見る事のない【琢磨】の顔を横目で冷たく流しながら車はその場を去った。