悲恋歌〜hirenka〜悲しい恋の唄。
その夜、弘樹くんからの電話の着信音が止むことはなかった。
一言、サヨナラ…
そう言えば済む事なのに
出れなかった…
弘樹くんの声を聞くとまた戻りたくなっちゃうから…
結局アタシにはサヨナラを言う勇気がなかったんだ…
「弘樹くん…」
電気もつけていない真っ暗な部屋に響く
もうその名前を呼ぶ事はないのだと思うと急に胸が苦しくって
「弘樹くん…」
〜♪〜♪
違う着信音が流れた
【着信中…麻衣】
…麻衣?
アタシは渋々電話に出た。
「はいー?」
『もし!!真紀?』
「どしたん?」
『アンタ弘樹くんすっごい心配して祐希くんに真紀ちゃんと連絡取れんのやけど何か知らん!?って電話あったらしいで!?もしかして弘樹くんに彼氏出来たこと言ってないん!?』
「言ってない…てか祐希くんに彼氏出来たからもう連絡出来んって弘樹くんに伝えといてって伝えてくれんかな…?」
『…本間にそれでえんか?本間に後悔せん…?』
「…もう、決めたから。」
『わかった…』
そう言ってアタシは電話を切った。
真っ暗な部屋の中、ケータイだけが光る
〜♪〜♪
【メール受信…弘樹くん】