はちみつキャンディ
「あれー、潤太きてないの?」

ドキッ

あたしの胸はたしかにそういった。

やめてほしい。

いまは潤太の話題をださないで。

「めずらしー。いつもあたしたちより先にきてるのにね」

友夏はそういって自分の席についた。

あたしはつっ立ったまま。

「おーい、雅ー。大丈夫ですかー」

ええ、あなたのおかげで。

潤太の話題を持ち出してくれたから、とびっきり元気。

って、なわけないでしょ!

「ああ、うん」

「雅、ぼーっとしすぎ!」

友夏はケラケラと笑った。

あたしは席についた。

けど、なにもやる気がしない。

机にふせて、窓の外の青空を見つめた。

白い鳥が飛んでる。

羨ましいなぁ。

あたしもいますぐ窓から飛びだして、

苦労のない世界に行きたい気分。


今日サボっちゃおうかな。

授業なんかどうでもいいし。


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