はちみつキャンディ
あたしが屋上にいこうと思ってこっそり職員室に鍵をとりにいったとき、ときどきなくなっていたのはあんたのせいだったの。

知らなかった。

まさか、あたし以外にも屋上にくる輩がいるとは。

合鍵のことは秘密にしておこう。

「秘密」

あたしがそういうと男子はふてくされた。

「なんだよー、教えてくれてもいいじゃんかよー」

絶対にいやだね。

パクられたくないし。

あたしは微笑んだ。

「イ・ヤ」

男子は、隠れているところからでてきた。

「ちぇっ、けちなヤツ!」

ってガキか。

「あんた、けっこうひどいのな」

「あんたじゃない!雅!」

「雅?オレは、遼介」

よくよく見るとこの遼介ってヤツ、けっこうカッコいい。

「なんだよ?ひとをジロジロ見て」

あたしは目を逸らした。

「見てないっ!」

ほんとは嘘。じっくり見てた。

というか実は、見とれてた。

絶対に認めたくないけど。


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