月の下でキスと罰を。
近くで鳴る音であたしは目が覚めた。いつもの歌ではなく別な音、何度か聞いたことがある。
窓から光が射し込んでいる。夜は明けていたのだ。
「……はい。あ、小田桐さん」
音を出していたのは小さな何かの機械で、それを耳に当てて瀬良は喋っている。相手は小田桐のようだ。
「……はい、……はい」
作業をしていた瀬良は、その手を止める。
「……え……?」
作業台の横に置かれているあたしからは、瀬良の横顔が見える。
目を見開き、そして顔色が悪いのは、この家が昼でも薄暗いせいなのか。
そんな、と小さく呟く。