月の下でキスと罰を。

 よろよろと、瀬良は工房へ入ってくる。あたしは、じっと瀬良を見つめた。

 コホンコホン、また咳をする。

 再び、顔を両手で覆って肩を震わせて泣いている。声を上げて泣いている。

 瀬良、瀬良。

 どうしよう、あたしは何もできない。足で歩いてあなたの側へ行き、この両腕で柔らかく、涙するあなたを包んであげたい。

 耳元で名前を呼び、涙を拭ってあげたいのに。


 瀬良の側に居た人間達が、当たり前にしていた事が、あたしにはできない。


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