ココロごと

夏樹

お互い人見知りもない性格で、すぐに打ち解けたようだった。


両方とも身の上話に花を咲かせていた。その中には大貴の事故の話も組み込まれていた。



そんな時、俺はふと夏樹ちゃんと目が合う。


一瞬胸の鼓動が上がる。自分の体全体が電車の線路を伝う音と一緒に揺れていた。



慌てて視線を外して、窓の向こうの景色に焦点を合わせてしまった。



夢の中にいた夏樹ちゃんが目の前にいる彼女だとは限らない。そう思っているのに心が否定しているように感じた。





時計の短針が十一をさす頃、次第にゆっくりと止まりだす電車。


それを知らせるように体に慣性が働く。



ドアの開く音とともに、一斉に人が動き出す。

四人も一緒に駅へ降り立った。




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