さよなら、片思い【完】

廊下の窓から見える夕日はあの日と同じように真っ赤で、


「ヤッバ、泣きそう…」


自分のせいだから泣くなんて俺には許されないのだからそれをグッと堪える。


哲に慰めてもらおうか、と考えていると背中に小さな衝撃が走った。


俺の腰に回された細い腕にそっと触れる。


「なんでっ…充はいつもいつも自分勝手なの！？」


「うん、ごめん」


「充みたいな自分勝手なバカはわたしがいないとダメなんだから！しょうがないから一緒にいてあげる！」


その言葉が夢や幻だと思いたくなくて、俺はゆっくりと振り返った。


「それ、本当に？由香里…」


泣きそうな顔をしている由香里を見つめると由香里はいきなり吹き出すように笑った。


「何、泣きそうな顔してんの？充」


泣きそうな顔をしていたのは俺の方だった。


「まじで…もう離さないよ、由香里」


「もう離さないでね、充」


久しぶりに触れた由香里の唇を感じながらもう二度とバカなことはしないと固く誓った。


「由香里、愛してるよ」


「わたしも！」