秘密
彼の腕の中で彼の唇を感じながら、私は小さな罪悪感と共に、ちょっとした優越感にも浸っていた。
私がこんな事してるのは、佑樹のせいなんだから…
もうこれで三回目。
もう浮気は二度としないって言ったよね?
二度あることは三度ある?
……はは。
私だって浮気してやる。
いや、もう今現在している訳だけど。
佐野君は普通に暮らしてたら、真面目な私とは何の接点もなく、会話すらしないで過ごしているに違いない。
金髪ピアスで、制服は制服とは思えない位に着崩し、よく違う女の子と一緒にいるところを見かける。
正直あまり好きではない。
と言うか、派手さが苦手。
そんな彼は浮気相手にうってつけ。
後腐れなく浮気出来そう。
先にこの提案をしてきたのは佐野君本人。
私なんかとは正反対の彼に正直興味もあった。
好奇心?
そう。それだった。
五時間目の授業中。
スカートのポケットの携帯が振動した。
取り出し机の下で開いて見ると、知らないアドレスからのメール。
気になって開いて見ると、写メが添付されていた。
そこには、佑樹と女の子がキスしている写メと共に、
『あんたの彼氏
俺の彼女と浮気中』