秘密
公園の遊具達で一通り遊んだ俺達。
「…そろそろ帰ろうか?」
「…うん」
再び手を取り合って、公園を後にした。
来た道を戻りながら歩いていると、電柱の下に黒く小さな影が蠢いていて。
「…あ」
奏は手を離すとその小さな影にしゃがみ込んで手を伸ばした。
見るとそれは痩せ細った真っ黒な子猫。
奏はその子猫を片手でそっと抱き抱えると、
「…可愛い…どうしたの?猫ちゃん?迷子?」
子猫に話しかけるが変事するはずもなく、奏の手の中で微かに震えていた。
見たところ産まれてまだ間もない…無責任な飼い主に見捨てられたか…
「多分、捨て猫だろうな…」
「……そっか…そうだよね…こんなに小さいのに…」
……可哀想。
奏の心の声が聞こえた気がして、その横に俺もしゃがみ込んで子猫の頭を軽く撫でた。
「……連れて帰る?」
「え?……いいの?」
「うん。うち、ペット可」
奏は子猫に視線を落とし優しく微笑むと、
「猫ちゃん、一緒におうちに帰る?」
−ニャ〜…
と、子猫は小さく鳴いた。
「はは…帰るってさ」
奏から子猫を受け取り立ち上がると、
「でも、俺、殆ど留守してるな…」
猫を飼うのは全然構わないんだけど、正直、越してきて直ぐの頃は本気で猫飼おうと迷った時期もあったし。
「私も面倒みるよ、そしたら大丈夫でしょ?」
「……ホントに?」
「私が見つけたんだもん…」
「…じゃ…一緒に飼う?」
「…うん、佐野君が、よければ…」
いいに決まってる。
子猫を両手で顔の前に持ってきて、
「よし。今日からお前はうちの子だ、よろしくな?」
−ニャ〜。
「あはは。猫ちゃんもよろしくって言ってる」
子猫を右手に、左手は奏の掌に。
俺達二人と一匹はゆっくりと歩き出した。
「名前、考えないとな?」
「そうだね?」
ふふふ、と笑って俺を見上げる奏。
こんな風に二人並んでずっと歩いていきたい。