秘密
飯を食い終わると拓也と美樹も行動を共にする事に。
「ね?美樹ちゃん、私ベアに会ったんだよ?」
「うっそ?ホントに?」
「うん」
「いいなぁ…あたしも探したんだけど見付からなくて…」
「えへへ、私もまさか会えるなんて思わなかった」
俺と拓也の前をはしゃぎながら歩く女の子二人。
あの熊?ベアって言うんだ。
…そのまんまやないかいっ!
と、脳内一人漫才。
「あっ。次あれに乗らない?」
奏が指差すその先は。
数十メートル上から垂直落下すると言うあれ。
…それだけは勘弁してくれ…
…ホントに魂が抜ける。
「ごめん、俺パス…」
「佐野君…乗らないの?」
…許せ奏。
「うん。飯食い過ぎて、あんなのに乗ったらリバースしてしまう…」
「俺も俺も、二人で行ってきなよ、俺達あそこのベンチで待ってるから」
「そう?じゃ、かなちゃん二人で行こ♪」
「うん。…佐野君、待っててね?」
「行ってらしゃい」
手を上げ笑顔で見送る。
二人の姿が離れて行くと、
「……はあぁぁ〜…」
ため息が出た。
「佐野、絶叫苦手なんだろ?」
「…そうだったみたい…奏には言うなよ?」
「ん〜…どうでしょう?」
ミスターか…
(知らない人はごめんね?)
「あはは、言わないよ、その代わりコーヒー奢ってよ」
ベンチの横の自販機で缶コーヒーを買いベンチに腰掛ける。
「拓ちゃん電車で来たの?」
「うん。佐野はバイク?」
「そうだよ」
「あー…俺も早く免許とりてぇ」
「…だったら無駄遣いしちゃダメじゃん…」
結構金かかるんだぞ?
「ん−、そうなんだけどさ、バイトで美樹ほったらかしにしてたからさぁ、ちょっと奮発した」
「……拓ちゃん、俺達の事どう思ってんの?」
「俺達?」
「……俺と奏」
「……そうだなぁ…」
拓也は残りの缶コーヒーを飲み干すと、
「…今は恋人同士…で、いいんじゃない?」
「…はは…何それ?」
「好きだから一緒に居る、先の事はわかんないけど、ずっと一緒に歩いて行く為にはお互い努力も必要…って事かな?」