秘密




コーヒーショップに戻るとお母さんが一人テーブルでコーヒーを飲んでいて、私達の姿を見付けると。

「何処に行ってたの?待ちくたびれたわよ…」

「ああ、わり、実はさ…」

テーブルに着くと佐野君は、先程の経緯をお母さんに説明する。

「あら。凄いじゃない、何て言う情報誌?」

「名刺…貰ったよ」

佐野君は編集者の女の人から貰った名刺をお母さんに見せると。

「【townapple】…ああ、月1で無料配付されるあれね?お母さん、あれに付いてるクーポン券よく利用してるの、あ。そう言えば、静もこれに載った事あるわよ」

「静さんも?」

「うん。情報誌だからね、静の勤めてるお店が紹介されて、イケメン美容師って肩書きで静の写真も載ってたわ。ふふふ」

イケメン美容師。
静さんカッコいいからなぁ。

「中身はヲタクだけどな…」

「…そうなのよね〜…それが無ければね〜…」


呟きながらコーヒーを啜るお母さん。


おたく?ってよくわからないけど…

アニメとか漫画とか好きな人達なんだよね?

確かに静さんの部屋はアニメのお人形やDVDや漫画やなんかが沢山あったけど…

それって悪い事なのかな?


−♪♪♪♪〜…


テーブルの隅に置いてあるお母さんの携帯から、今流行りの韓国の男性アイドルグループが歌う曲が流れてきて。


「あ。噂をすれば静からだわ…」

「……母さん、あんたも好きだね…ヨン様はどうした?」

「何言ってんのよ、時代は今kpopなのよ?…はい。もしもし?…どしたの?静…」


どうやら静さんから電話がかかってきたみたい。


「…え?…もう帰る所よ…うん。わかったわ、それじゃね」

「…兄貴、何て?」

「今日夕飯、父の日だし外で食べようって、静がご馳走してくれるんだって、ラッキー♪楽できるわ♪」

「は?俺達夕方には帰るつもりなんだけど?」

「え?一緒に行きましょうよ?せっかく静がご馳走してくれるって言ってるのに…」

「…すみません、お母さん…うちでも父が待ってますから…今日は早めに帰ります…」


ホントは行きたいんだけど…
お父さんをこれ以上心配させる訳にも…

ちゃんとお父さんの話も聞いてあげよう…


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