秘密
「そっか、そうだよね…お父さん待ってるよね?父の日だもんね、うん。今日はもう沢山遊んだからお母さん満足♪」
「…そりゃ、あんだけ買えば満足だろ…」
佐野君が頬杖をついてボソリと横向きに呟く。
「ちゃんと茜の分も買ったわよ?」
「は?俺のもあんの?いつの間に買ったんだ…てか何買ってくれたの?」
笑顔で佐野君がそう言うと。
「パンツ」
「………」
黙り込んでしまった佐野君。
私ばっかり沢山買ってもらって、なんか佐野君に申し訳ないな…
パンツだけなんて…
「何その顔?あんたのパンツ随分くたびれてたから新しいの沢山買ってあげたのに…」
「…くたびれてって…母さん…奏の前でやめてくれ…」
「あら?せっかく奏ちゃんが茜のパンツ選んでくれたのに…返品しちゃおうかなぁ?…」
「え?奏が選んでくれたの?」
佐野君が身を乗り出して聞いてきたので、私は思わず後ろに身を引く。
「う、うん。…私が選んだよ?いけなかった?…返品しようか?」
「そうね、奏ちゃん、返品して茜にパンツ選ばせようか?」
「…そうですね、その方がいいかも…やっぱりパンツは自分で選びたいですよね?」
「…いやいやいや、その必要無いから、パンツ欲しかったんだよ、ははは」
それから暫くそこでお茶して佐野君の家に帰る事に。
家に帰り着くと、静さんはまだ仕事で、お父さんはゴルフの練習場に行っていて留守にしていた。
時刻は午後5時。
せめてお父さんが帰って来るまでは居ようとリビングで佐野君とテレビを見ていたら、バイクのエンジン音が近付いて駐車場の中に入ってきた。
「…げ。兄貴のやつ、もう帰ってきやがった…」
…げ。って佐野君…
静さんはお仕事して来たんだよ?
そんな言い方しなくったって…
私は立ち上がり玄関先までお出迎えする事に。
ドアを開けてヘルメットを抱えた静さんが入ってきて。
「お帰りなさい、お兄ちゃん」
出来る限りの笑顔でそう言うと、静さんは手に持っていたヘルメットをゴトッと下に落とし。
「かっ、可愛いっっ!!」
私をギュッと抱きしめてしまった。