秘密
「お前あのチビリョータか?デカくなったな。俺とかわんねぇじゃん」
とリョータの頭をグリグリとかき回す。
「あはは。頑張ったっす!」
ホントにデカくなった。
1年の時は150そこそこしかなくて、女の子みたいだったのに。
「…あの…佐野君?」
奏が遠慮がちに俺に声をかける。
「あ。奏、こいつリョータ、俺の後輩」
リョータの頭をポンポンと叩く。
奏は椅子から立つとリョータに軽く頭を下げる。
「こんちは。奥村奏です」
「あっ、戸田リョータっす…」
リョータは顔を赤らめ、頭をかきながら奏に頭を下げた。
何照れてやがる。
奏は俺んだ。
「あ、そうですよ!何でここに居るんですか?」
リョータは再び聞いてきた。
「あの…それは、私が無理言って連れてきてもらったの…勝手に校内に入っちゃって…怒られるかな?」
「全然大丈夫ですよ!むしろ大歓迎!佐野先輩が彼女連れてきたってみんなに言いたいっすよ。あ、佐野先輩、今から体育館に来てくれませんか?まだ練習中ですから、よかったらみんなにも会ってやって下さい」
リョータはホントによく喋る。
「…あの…私…彼女じゃ…」
「わかったわかった。行くから、奏?いいか?」
「え?…うん」
「マジすか?俺先に行ってます、あ、その前に携帯携帯…」
リョータは机から携帯を取り出し、「待ってますから」と言って教室から走って出て行った。
「…なんか…誤解されちゃったね…彼女って…」
「別にいいじゃん?説明する訳にもいかないし、彼女って事にしといて?」
「……うん…へへ…」
あれ?
照れてる?
彼女って事に?
…やべ。
なんか俺も照れる…
まるで中坊じゃん。
懐かしい学校に来て、俺も中学時代に戻ったのかな?
……でも…
やっぱり、後輩に会うのは気が重いな…
跳ぶ事が出来なくなった俺には、そんな資格がないような気がして…
…いや、そうじゃない。
跳べなくなった自分が悔しくて、情けなくて…
あいつらが羨ましいだけなんだ…
俺はそんなに器用な奴でもなかったな…不器用で小心者で…
……ははは…