秘密
何日も入院してると退屈なんだろうな。
ましてやこの子はまだ小学生。
せっかくの夏休み、遊びたい盛りなのに病院で過ごさなきゃいけないのは可哀想だ。
「悪いね佐野君。まりあちゃん部屋までお願い出来るかな?僕これから外科外来に行かなくちゃならないんだ」
「今から行くとこだし、別にいいですよ」
「そう言ってもらえると助かるよ、まりあちゃん?大人しく部屋に居ないとダメだよ?」
「はぁーい」
「よし、いいお返事だ。じゃ佐野君、頼んだね」
手を降り踵を反す岡崎先生に、まりあも手を振ってその背中を見送る。
俺は歩きながら。
「まりあちゃんは何年生?」
「三年生!8さい!」
小三か。
俺がミニバス始めたのと同じ歳だ。
「おにーちゃんは?何さい?」
「俺?俺は17だよ」
「えーーっ!?17さい?」
「……そんなに驚く?」
「大人だと思ってた!」
「そんなに老けてるか?まだ高校生だよ。幾つだと思ってたの?」
「んー…、岡崎せんせーと同じくらい」
岡崎先生って研修医だろ?
って事は確実に26以上って事だよな?
どんだけ老けて見られてるんだ、俺は。
軽く凹みつつ、766号室の扉の前までやって来た。
戸口の横のプレートには。
[小手川 まりあ]
[奥村 奏]
二人分の名前が書いてあり、この病室は恐らくニ人部屋なんだろうと言う事が伺えた。
この病室に佑樹が居る。
俺は一度深く息を吐いて、引戸に手をかけた。