秘密
「…旨い」
「ホントに?よかった…」
「マジで旨い。辛さも丁度いい、カレーなんて久しぶり」
「沢山食べてね?」
あまりのカレーの旨さに、ガツガツとかきこむ俺。
奏は冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、コップに注ぐと俺の前に置いてくれた。
「おかわり、もらえる?」
空になった皿を手に立ち上がると、
「え?もう食べちゃったの?早…」
「だって旨いもん」
奏は笑うと皿を受け取り飯をよそって、おかわりを注いでくれた。
なんかいいな、こう言うの。
夫婦みたいじゃね?
ははは。
「奏は?食べないの?」
「私は父が帰ってきてから食べるよ」
…なんだ残念、一緒に食いたかった。
「何時ごろ帰ってくる?」
「20時過ぎ位かなぁ?」
今は19時過ぎか、食ったら帰らないとな。
「…あのさ、奏にお願いがあるんだけど…」
俺は前から知りたかった事を奏に聞いてみた。
「……何?…」
「…ケー番、教えてくんない?」
奏はキョトンとした顔になる。
「……ケータイ…番号?」
「うん。アドレスしか知らないし」
「……あはは…ケータイ番号ね、お願いなんて言うから、変な事考えちゃった、はは…」
「?…何言われると思ったの?」
すると奏は途端に赤くなり、視線を泳がせる。
「………別に、何にも…」
「…今日の続き?いつするか?とか?」
「っ…違っ!」
「あはは。ビンゴだ、奏のえっち」
「ちっ、違うもん!」
奏はさらに赤くなる。
…はぁ。かわゆす…
「けっ、携帯取ってくる!」
慌てて立ち上がり部屋に入る奏。
何なんだあの生き物は?
可愛い過ぎるだろ?
奏の動行ひとつひとつが俺の心を鷲掴みにする。
初めはただ奏の笑顔が眩しくて、次にあんなに可愛く笑った奏が時々泣きそうな笑顔になっている事に気付いて、気になって仕方なかった。
いつも目で追っていた。
今では学校では見せない顔を、俺と二人きりの時に見せてくれるようになった。
始まりが浮気でもいい。
そんな事は全く問題じゃない。
いつか奏が俺の事を好きだと言ってくれるのを待ってる。