神様、恋をください。

海~kakeochi



でも、明日は...

とっても楽しみにしてた海。

なのに私は___。



「杏樹ちゃん、今日の夜、お母さんそばにいるわ。その方が安心でしょ?」

『大丈夫。一人慣れてるから。お母さんも家に帰ってお父さんと話し合ったほうがいいと思うよ。』


本当の理由はそんなんじゃなかった。

でも本当の事を言ったら____


『ほら、行きな、ね!!!』

「あ、はい。わかった。明日また来るわね。」

私はお母さんを病室から押し出した。

病室には、小林さんと私と、小さな女の子、たった3人。


私は退屈でもう寝ようと思った。

その時、携帯がなった。

出ようと思ったけど、ここは病院。

病院内での携帯の使用は禁止されている。


「白石さん。出ていいわよ。内緒にしとくから。大事な人からじゃないの?」

小林さんの久し振りの声。

携帯のディスプレイを見た。


    “慶仁”


『すみません。』


私は、小林さんと小さな少女に一言いって、電話に出た。

『もしもし。』

「杏!!!大丈夫か??」

『うん。TV見た?よね...』

「おう。心配した。」

『重傷って書いてあったけどそうでもないし。』

「そっか。明日は残念だったな。」

『うん。慶仁は行くでしょ?』

「俺はお前が行かねぇんだったら行かない。」

『ねぇ、お願いがあるの。』

「何??」


“私を迎えに来て”

私はそう言いたかった。

『...』

「どうした??大丈夫か?」

『私、海に行く。だから迎えに来て』


< 55 / 71 >

この作品をシェア

pagetop