きみの声がきこえない

「分かった」

「マジっ?

じゃあ、土曜、夕方の四時に駅でいい?」

「いいよ」


健は嬉しそうに声を弾ませた。

心の声も変化した。

あたしはちょっと罪悪感だ。


ちょうど健があたしの席を離れた時に、友里が教室に戻ってきた。



「ね、琴音。本当に健のことダメなの?」

「何が?」

「健って琴音のこと好きだと思うよ」

「……」

「付き合ってみたら、案外うまくいくかもよ?」


友里がさらさらの髪を耳にかけてあたしにそう促した。


健の方を見ると、

振り返って嬉しそうに笑った。


「ダメ?」

「うーん」

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