きみの声がきこえない

友里の綺麗な目を見た。

その時、耳鳴りがした。


「健いいと思うけどなぁ。

きっと大事にしてくれると思うよ」


――私だったら、健と絶対うまくやれるのに。

何で健は私を好きになってくれないのかな?


え?友里?


「優しいしさ。ま、ちょっとへたれだけど」


――琴と健が仲良くしてるのを見るのがつらい……。



友里の声がきこえた。

友里はあんまり自分の気持ちを語らないタイプで、

人に相談とかもしないタイプで、いつも内に内に閉じ込めてしまうタイプだ。


自分の気持ちに嘘をつくタイプ。


だから今まできこえなかったの?



友里は今、健の恋を応援している。

でも、本当は健のことが好き?

好きなのに?



あたし今までちっとも気づかなかった。

気付けなかった。



「友里」

「あ、そろそろ、予鈴鳴るねっ。あたし席戻る」

「うん…」



どうしよう。
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