きみの声がきこえない

――琴音はやさしい子だね。


「はっきり言ってくれてよかった。

琴音がこうやって本音を見せることってあんまなかったよね。

だから何か、嬉しかった」


――あたし健が大切なんだ。

琴音のことも、すごく大切なんだ。


「友里」

「よし、琴音がそうやって勇気出したんだもんね。

あたしも健を諦めないことにする!」


――ごめんね。ありがとね。


「うん!それがいい!」

「あ、チャイム鳴った!急ごっ!」



あたしたちは笑い合って、肩を合わせながら教室まで走った。


耳鳴りも止んでいた。

重たかった心が、すっと軽くなった。
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