きみの声がきこえない

踏み切り


陽介に一番に報告したかった。


あいつの言葉にあたしはかなり助けられた。

いい知らせをして、

よかったなって言ってもらいたかったのに。


「あいつ今、自宅謹慎中らしんだよ」


陽介のクラスを尋ねると、

この前自転車置き場で問題を起こした、腰パンの木崎がそう言った。


「どうしてですか?」

「いやー、何か他校の生徒に手出して、ケガ負わせたらしいよ。

担任は、あいつが喧嘩吹っかけたって言ってたけど」

「そんな陽介から手出すなんて…。それで今陽介は?」

「さぁ、よく知らねぇや」


よく知らないって…友達なのに。

横にいた男子生徒も頷きながら言う。



「あいつ結構、喧嘩っ早いし、なんかむしゃくしゃしてたんじゃね?

ま、そういうことだよ。そのうち帰ってくるだろ」
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