きみの声がきこえない

「陽介…!

びっくりした…大丈夫?」


なんかうまく喋れない。

なぜかあたしは陽介を叱りたくなった。


「ああ」

「あの子が助かったのは本当によかったけど、でも陽介もあとちょっとで危なかったんだよ…?」

「俺のことなんてどうでもいいんだよ」

「どどどうでもよくないよっ!!」

「何声震わしてんだよ」


大袈裟だなと、力の抜けたようにへらへら笑う陽介を見て、あたしはまた飛び上がった。


「やだ、ちょっと!すごい血!」


さっきダイブした時に出来た腕の擦り傷が、すごいことになっていた。


「大丈夫だよ、全然平気だから」

「平気じゃないでしょ!!バカ!!」


あたしは、陽介を家に連れて行くことにした。

おー怖、と陽介はしぶしぶあたしの後についてきた。



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