きみの声がきこえない

あたし達は、まだ一緒にいる。


あたしに声がきこえなくなってから、

自然と二人は能力の話をしなくなった。


ますますあれは夢だったんじゃないかと思ってしまうくらい、

何事もない日常だ。


陽介に例の力がまだあるのかは分からない。


聞けはいいんだけど、

なぜかあたしは聞かないままでいる。


何でだろう。

分からない。


だけど陽介は能力がなくたって、

誰かの痛みと向き合うだろう。



そして

あたしの痛みを受け止めてくれる。
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