ご主人様に首ったけ!
「ちょっ!いい加減泣き止めよ!
あいつだっているのにっ、俺が責められる!」

「……あいつ?」


って今度は誰?

お客さんは聖ちゃんだけじゃないの?


すると、聖ちゃんで死角になって見えなかったところからもう一人。

その人は綺麗な顔を微かにゆがめながらゆっくりと、その美しい姿を私の前に姿を現した。


「あいつって、僕のこと?」

「うげっ!」

「まったく、露を泣かすなんて……。
君は紳士にはなれないよ?」

「霧様……」


うそ……。

霧様がうちに……?

どうして、聖ちゃんと一緒に……?


聖ちゃんにそれを聞きたかったけど、言葉にする前に聖ちゃんは玄関から離れてしまい、大きく手を振って、


「じゃ、俺はこれで失礼するかな。
おっと、センパイ!こいつの涙は俺が悪いわけじゃないっすよ!
じゃあな、露!!」


と叫ぶと、走って去って行ってしまった。


聖ちゃん……ありがとう。

……大好きだよ。


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