貴方の恋人になりたいです



「好きな人!?なにそれ、初めて聞いた」



「言ったの初めてやもん。多分、利緒も知らんと思う。せやから朔良なんやないかって勘違いしてるやないかと……」




「那智にぃのせいじゃない…」



これじゃ恨み言も言いたくなる。



「悪いことしたなぁ、朔良にも、利緒にも。おまえ、なんだかんだ言って利緒のこと好きなんやろ?」



「………うん」



すき



たった一言が言えなくて



ずっと可愛くない意地張って



勘違いをさせたまま失いたくない人を手放してしまった



私は、なんてばかなんだろう…



「アイツからなんか連絡あったら教えてや。俺のほうに連絡あったときも教えるさかい、よろしくな」



申し訳なさそうな顔をし、那智にぃは部屋を後にした。



「…会いたいよ、利ぃくん」






< 45 / 56 >

この作品をシェア

pagetop