KAGAMI


アタシは人混みからやっと出れた、といった感じの人と目が合った。
何かに引っかかったのか、体制は少し前のめりになってる。
その人は、アタシと同じデザインの制服だと思えない程それを着こなしている。

紺色のブレザーの外れたボタンの内側から覗くのは、真っ白の眩しいYシャツではなく濁ったグレーのパーカー。
腰上で履いてるんだろうけど、ズボンはパーカーの裾に隠れて腰で履いてるように見えた。


アタシの名前を呼んだのは、きっと彼。
っていうか、この人どっかで見た気がする…かも。


「はい?」

一応、返事をする。
赤澤、なんて名字あんまり居ないんじゃないかな?
それにこの人、アタシの事見てるもんね?


「やっぱり赤澤?!久しぶりだな!」

アタシはまだ誰だったかも把握出来てないのに、この人は勝手に話を進めていく。


「って言っても、教室の階も違うし、毎日会えるわけじゃないか!」

楽しそうに話をしてるけど、よく分からない。
内容よりもアタシの頭の中は「誰だっけ?」でいっぱいだ。

「でも、赤澤が学校来てた時は絶対見つけてたんだぜ?」

っていうか、それしか頭にない。
なのにこの人は自分の言いたい事をべらべらと並べていく。


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