KAGAMI


これを口に出して言ったら、先輩は笑うと思う。
だから、言わなくて良かったと思った。

だって先輩が、それを知ってる理由を教えてくれるから。


「何にもすごくないよ、みんな知ってる。」

「え?」


知ってる。

その単語にドキっとした。
知ってるって何を?
学校用じゃないアタシの事…?


そんな話でもなかったのに、咄嗟に眉をしかめた。
隠し事って、なんだか後ろめたいものだな。
それでもばれても構わない。

そもそも、学校でいつものアタシで居たら友達なんて出来ない。
別に一人になるのが嫌だってわけじゃなくって…。
アタシの素行で、想太くんが学校から何か言われるのを避けるためだ。
でも今は、アタシにもっと関心を持って欲しい。

だから今なら、ばれてもいい。



ここまで考えたっていうのに、先輩が言った答えはかすってもなかった。

「赤澤の席さ、みんな知ってるよ。可愛いって有名だ。」


どう反応しようか。

< 234 / 276 >

この作品をシェア

pagetop