KAGAMI
これを口に出して言ったら、先輩は笑うと思う。
だから、言わなくて良かったと思った。
だって先輩が、それを知ってる理由を教えてくれるから。
「何にもすごくないよ、みんな知ってる。」
「え?」
知ってる。
その単語にドキっとした。
知ってるって何を?
学校用じゃないアタシの事…?
そんな話でもなかったのに、咄嗟に眉をしかめた。
隠し事って、なんだか後ろめたいものだな。
それでもばれても構わない。
そもそも、学校でいつものアタシで居たら友達なんて出来ない。
別に一人になるのが嫌だってわけじゃなくって…。
アタシの素行で、想太くんが学校から何か言われるのを避けるためだ。
でも今は、アタシにもっと関心を持って欲しい。
だから今なら、ばれてもいい。
ここまで考えたっていうのに、先輩が言った答えはかすってもなかった。
「赤澤の席さ、みんな知ってるよ。可愛いって有名だ。」
どう反応しようか。