KAGAMI
想太くんが好き。
罪悪感でいっぱいだったその感情に、
どんどん欲が出てくる。
どんどん欲張りになる、好き。
もっと、教えて?
「ケータイ忘れてたから、連絡出来なくてごめん。」
アタシが持ってないピースを組み合わせて、
“知らない”を“知ってる”に変えよう。
「それが、莉麻が誤解してた事の全部。」
つまり、帰りが遅くなったのは食事をしてたから。
缶詰状態になっても間に合わないくらい、締め切りが近い次の仕事で忙しいのは知ってる。
それが終わってから食事をしてたなら、納得がいく時間だった。
「片平さん、編集者辞めるんだって。だからそれも兼ねてた。」
「なんで?」
アタシは少しだけ安心して、フォークを持ち直した。
ちゃんと聞いておけばよかったな。
アタシが逃げたから、必要以上にすれ違ってしまった。
想太くんに非は無いのに、アタシってやっぱりガキ。
だって、分かったのに素直に謝れない。