戀愛物語
ふせられた長い睫毛は、昨日見たばかりだった。
とても綺麗な人。そう思いながら、じっと見つめる。

普通ならば、いきなりキスをされた男になんてもう二度と自分から近づく事なんてしないのかもしれない。
でも、みことはどうしても彼が気になって仕方が無かった。
巡を知りたいという想いの方が、拒絶することよりも勝っているのだ。

そうは思っても、やはり昨日の恥ずかしさは完全に抜けきっていない。
自分のしている行動をはっきりと自覚して、みことは起こさないようにゆっくりと離れた。

その時、手にしていた氷がからりと音を立てた。
はっと目を見開いた巡が、勢い良く起き上がる。
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