戀愛物語
  
「……っ!!」

巡は目に見えるものを遮断するために、固く瞼を落とした。
瞬間、窓に鋭い亀裂が走る。
肩で息をし、俯いた彼の頬を“長い自身の黒髪”が覆った。

ぱさりとベッドにまで届くほど伸びた黒髪を視界に捕らえ、片手を瞼の上へとそえる。
髪と指の隙間から揺らめいたのは、赤い光だった。


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