君が僕の名を呼ぶから
葉子さんも何だかんだで悪い人じゃなかったし、
……これで丸くおさまったと思った。
「なぁ!葉子に告白されたって本当!?」
しかし、翌日には学校中にその事実が広まり、尾ひれがつき、僕はその火消しに翻弄された。
「先輩!!酷いじゃないですか。勝手に昨日のこと言い触らすなんて。」
僕は昨日、葉子さんの伝言を伝えてくれたバスケ部の先輩を捕まえて詰め寄った。
「いや、葉子に告白されるなんて名誉なことだからさ、何の気なしに……。」
「朝からその話題ばっかり投げ掛けられて、疲弊感がとんでもないんですよ。」
「悪かったって。今度なんか奢ってやるよ。それに今日は部活休みだから、ゆっくり休めよ。」
「はぁ……。」
悪びれない先輩の様子に、僕は段々怒る気力がなくなっていった。