偽りの温もり

携帯

「いや、鍵…
閉める必要ないじゃん」

「逃げてほしくない」

タカシらしくない。
もしかしたら
これが本当の
タカシかもしれない。

実は弱くて
人を大切に思う彼が
愛おしかった。

「本当はリオが
好きなんだよ…」

しゃがみこむタカシは
小さな子供みたいで
可愛かった。

「タカシ…
顔、あげて?」

そう、言うと
顔を上げて
私にキスをした。

「…ちょっと…」

タカシは
意地悪そうに笑った。

それから
二人でテレビを
見始める。

なんでもない時間が
過ぎていく。
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