偽りの温もり
本当の温もり

新しい私

高校を卒業してから
3年が経った。

「前田さーん。
中へどうぞー」

私は学校とバイト先を
行き来していた。

「前回、型取りしたとこ
痛くなかったですか?」

「痛くなかったよー」

「少し虫歯が
深かったから
心配してましたよ。」

私は歯科衛生士を
目指していた。

少しは成長できたかな?

「よっ。」

「あ、ヒデじゃん」

あれからヒデとも
連絡を取り合って
友達として
仲良くしていた。

「リオ、歯石取って」

「今、忙しいから
今度にしてー」

私はさっきの
患者さんのとこに戻る。

「リオちゃんの彼氏?」

「違いますよぉ
ただの友達です。大切な」

「リオちゃん、彼氏は?」

「いないですよ。
前田さん、
口を開けてください。
治療できませんよ」

前とは比べものに
ならないくらい、
充実した日々を
送っている。
それは皆のおかげ。

「リオちゃん、
ありがとう」

「歯のクリーニングにも
来てくださいね」

ニコッと微笑んだ、
前田さんは
帰っていった。
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