偽りの温もり
「他を見てみます」

雅也は
私の機嫌を読んだのか
店員を遠ざけ
他の店に向かった。

次は
私が好むお兄系。

「リオ、これは?」

「うん、好きかも」

雅也が赤くなった。
ただ、服が好きって
言っただけなのに。

そんな雅也に私は
キュンとした。

「試着してみる…」

そんな雅也が
もっと見てみたい。
そう思った私は
Sスイッチが入った。

「…どうかな…?」

「ん、カッコイイ。
やっぱ、それ、
好きだな」

ほら。
また赤くなる。

「からかうなよ」

「からかってないもーん
本当の事、言っただけ」

そんな話をしながら
笑い合っていた。

「これ、いいですか?」

「はい。お包みします」

会計を済ませ、
私たちはフードコートに
立ち寄った。

「お腹空いたぁ」

「何か食べよっか」

私はオムライスを
雅也はラーメンを頼んだ。

「いただきまーす」

オムライスを
食べる私を見て
雅也は笑った。

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