楽園はどこに?【BL・GL・NL】
「ねえ、逃げよう?」
何処かへ行こうと、彼女は言った。
この街から逃げ出そう、と。
不死者は増え続けるばかりだし、
他の街から、噂を聞いた者も多くやってきた。
彼らの食欲に応えている内に、
完全に体が戻る日が無くなった私を、
彼女は憂いていたのだろう。
「死なないのは知っているけど、
だけど、痛くない訳は無いでしょう?」
私はそんなの、見ていたくないの。
だから、一緒に何処かへ行こう。
誰も心配しない私の事を、
彼女だけが、案じていた。
その事がとても嬉しかった。
だからその手を握りしめた。