我が家の甘々執事サマ☆

【階城家·車内】


まだ鳴りやまないグランドピアノの旋律に耳を傾けながら、車を出すように指示した。


「よろしかったのですか?百瀬さまと」

「あぁ」


――小さい頃から、好きだった。


「眞輝さまは、お優しい方ですね」

「……聞いていたのか?」


少し、と答える使用人。そうか、恥ずかしいところを見られてしまった。


高校が休みになったというだけじゃない。

久しぶりに日本に帰ることになって、会えるチャンスをもらえただけで嬉しかった。


同時に、きっと自分が望んでる答えじゃないことを思っている彼女と話をしなければならなかった。


好きな女のしあわせを思わない男が、いるわけないじゃないか。


「後悔はしていない。今後は仕事で会いたい旨も伝えてきた」

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