空音
悩心
 遊園地でのデートのあとから僕は毎日グランドから妃奈に話しをしている。
たわいもない会話だが、僕の中では妃奈と話ができているだけでも最高に楽しい瞬間だ。
「次はどこに行きたい?」
妃奈に聞いてはいるが本当は僕がデートをしたい為で行く場所なんてどこでもいい。
「行きたいところ?ん~、そうだ!私淳二のサッカーしてるところが見てみたい!!」
…こいつはまいった。まさか妃奈の行きたいところがサッカーしている俺をみることだとは。
「サッカーなら俺いつもグランドでしてんじゃん!?」
これで妃奈が納得してくれたら儲けもんだとおもっていたがこんな時だけ妃奈の天然は解消される。
「試合!!!決まってるでしょ!!」
そらそうだ。サッカーを見に行くというなら試合以外にはないだろう。
ん~。。。困った。試合を見にくるのか。
いや俺は別に妃奈に嘘とかついているわけではない。
試合には欠かさず出ているし多分主力の一人だ。
ただ困った事に俺はいつも後輩にこう言っている。
「試合はボールという武器をつかった戦さだ!!彼女なんか連れてくる奴なんか試合にださん!!」と。
「妃奈!!実は。」
俺が妃奈に言葉を発する前に妃奈は俺にこう言った。
「淳二絶対に点とってね!!」

。。。困った。
どうするべきか?
俺はとりあえずたけしを呼んで相談する事にした。

しかしたけしを呼んだはいいが、これにも問題がある。
妃奈と付き合っている事を俺はまだ誰にも話しをしていないのだ。
とりあえず付き合っていることはたけしには話しをしておこう。
相談事をするには付き合っている事を知ってもらっておく必要があるだろうから。
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