空音
 その日以来、たけしと俺は入念な打合せを重ねて集合場所と時間を設定。
妃奈にはたけしと一緒に迎えに行くからという事を伝え、試合の当日の注意点を入念に話し合った。
そして、たけしに相談をしてからしばらくがすぎ、ついに試合の当日の朝を迎えた。
今日は集合時間に遅れることのないように少し早めに出発する。
「たけし。ホンマにごめんな。なんかお前まで巻き込んでしまって。」
「なにをいまさら言うとんねん!ていうか妃奈ちゃんには俺のことええふうに言うとけよ(笑)」
たけしには本当に感謝しなくてはいけないな。
「わかってるって。大げさなくらいに誉めといたるわ」
しばらく二人でたわいもない事を話しながら目的地を目指して車を走らせる。
え~と、そろそろ待ち合わせ場所に付く頃だが、、、、
妃奈は一体どこにいるんだろうか?
たけしと一緒に目を凝らしながら探してみる。
すると俺より早くたけしが妃奈を発見したみたいでこう叫んだ。
「いた!!」
「マジで?!どこにいたん?」
するとたけしは右を自慢げに指差してニヤニヤと俺をみつめていた。
本当だ。たけしに先に妃奈のことを発見されてしまった。
悔しいが仕方がない。
とりあえず俺は妃奈に大きく腕を振り、気づいてもらう為に努力をした。
「お~い!!!!妃奈!!!!こっちこっち!!」
妃奈は予想以上に大きな俺の声にびっくりしながらこっちを振り向いた。そして妃奈は声の主が俺だということに気がついたら一気に表情を満面の笑みに変えて俺の方に走ってきてくれた。
「淳二おはよう!!早かったね?」
「ん?大事な姫を待たせるわけには行かないからな!いつもより少し早く出たんだよ。」
「ありがとう!今日はすっごい楽しみにしてるからね!!」
「じゃあ絶対点取るから目離さないようにしとけよ。」
「うん!!」
妃奈との会話は本当に俺を幸せにしてくれる。
試合までまだ三時間もあるというのにこんなにテンションがあがってしまってどうしたものかと考える。
しかしその考えを一気に忘れてしまうかのような嫌な視線を感じる。
それがなんなのかを頭をひねって考えるとすぐに答えが思いついた。
そう。その視線の送り主は。。。。


たけしだった。
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