空音
愛心
 しまった(笑)
たけしのことをすっかりと忘れてしまっていた。
妃奈と二人だけの世界に入り込んでしまっていた。。。
この静けさに包まれた空気をどうしようかと考えていると、たけしの方から俺の首をしめながら話し掛けてきた。
「おはよう妃奈ちゃん!!俺は淳二の恩人のたけしっていいます!!以後よろしく」
でた。たけしの合コン用のスマイルが。
さらに俺の耳元でこうささやく。
「淳二。妃奈ちゃんにおれのこと誉めて誉めて褒めちぎっておいてくれよ。」
その言葉を聞き、俺はどうしようか考えたが結局たけしのそのままを妃奈に伝えることにした。
「こいつが前に話していたたけし。まあ合コンで女をだますだけだまして。合コンが終ればすぐに次の合コンのことしか頭にないような男だ。」
「そうそう俺の頭は合コンのことしか入っていないようなそんな男。。。て誰がプレイボーイじゃ!!!」


びっくりするくらいにたけしのノリ突っ込みが空振りをし、車の中は今までに感じた事のないほどの静けさに包み込まれていた(笑)

そんな重苦しい沈黙がしばらく続き、誰から話を始めたらよいのかがわからない中で、最初に声を出したのは、、、妃奈だった。
「わっはっはっはっは。」
なんと大爆笑だ。
俺とたけしは同時に妃奈にこういった。
「反応遅!!!」
と。(笑)

その後のたけしと妃奈の駆け引きは予想以上に面白く、試合会場に行くまでの間、三人はずっと笑い転げていた。
今日は点をとるだの試合に勝ったらみんなで飯に行こうだとか3人の会話が尽きる事はなかった。

一台の車が目に入ってくるまでは。
< 24 / 44 >

この作品をシェア

pagetop