Five LOVE☆
夢を見た。

私の代わりに、雅志が日本一の獣医師を決める大会に出て、
優勝している夢。

そこで、目が覚めた。


枕からは、微かにペパーミントの香りがした。


「ん…」


「奈留ちゃん!?」


この、透き通るような声。
どこかで聞いた覚えがある。

ベッドの周りにはTVや花瓶などがある。
心電図機器等も…

ここ、病院?


横を見てみると、柔らかい笑顔の女性。


「ビックリしたわよ。
雅志から連絡受けてすぐ、ここに運んだのよ?
救急車で。」


あぁ…この人…

雅志のお母さんだ。

私がインフルエンザで倒れたときも…

お世話になった。


「またご迷惑おかけして申し訳ありません…」


「大丈夫よ。
奈留ちゃんならいくらでも治療してあげるわ。
息子が嫁ぐ家の娘ですもの。」


「あ、そうだ。
ちょっと待っててね?」


そう言って少し席を外した雅志のお母さんは、
1枚の紙を持ってきた。


「この間のインフルエンザ…じゃなくて、夏に健康診断をしたじゃない?
そのときに気になったことがあったから、言っておくわね?」


ウチの動物病院では、雅志の実家のこの病院で…健康診断が行われる。


「奈留ちゃん、ちょっと貧血なの。
ヘモグロビンの量が20台以下っていうのは…かなり危険よ。」


「そうですか…
気を付けます。」


「そうそう。
仕事中に倒れられたら困るからね?」
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