君がいれば

х怒りх

初めて聞いた彼の声は耳心地のよい私好みの声だった。


《ってこんなこと思ってる場合じゃないよね》


『ごめんなさい…大丈夫ですか?』


私が控え目に聞くと彼はにっこり笑って


「これが大丈夫に見えるか?お前バカ?」



《ん?》



「すっげーアホ面」



『なッ!!な…な…』


開いた口が塞がらないとはこのことだ。


「つーかなんで上から降ってくんだよボケ」


《今私の目の前にいるのは誰なんでしょう…》


『ほ…ほんとに月野十夜?』



「…なんで俺の名前知ってんの?どっかであったっけ?」


『えッいや…月野君有名だから…』


彼は自分が有名なことに気付いていないらしい。
< 7 / 35 >

この作品をシェア

pagetop