ずっとあなたが好きでした
確かに私はとても傷付いたし、散々悩んだ。

けど、もう今はそんな事は思い出したくもなかった。

ホントにどうでも良かった。

私は今、伊藤くんとあっこの事で頭が一杯だった。

「矢吹くん、私ね、虐めに遭ってたなんてどうでも良かったの。あんな子達に惑わされたくなかったし、動じたくなかったの。私は気にしていませんっていう態度をとって、皆とは違うって事を認めさせたかったの。別に良いの。終わった事だし。気にしないで、ホントに。矢吹くんは全然悪くないから。それを言うなら、他人と上手くやれない私が悪いの。それに里加ちゃん、矢吹くんに私の事なんて言われたくないよ。だって、里加ちゃん、矢吹くんの事が大好きなんだから。好きな人にそんな事言われたくないよ。」

俊也は寂しそうな顔をしていた。

少し沈黙が続いてから、俊也が言った。

「知ったの?」

「え?」

「伊藤と衣川の事」

「矢吹くんも知ってたんだぁ。情報早いね」

「俺はさ、たまたま伊藤が衣川に告白してた所を見たからさ」

「そう…そうだったんだね」

「大丈夫か?矢田は伊藤の事、好きなんじゃ…」

「私は、私は関係ないよ。」

つい大きな声を出してしまった。

「ごめん。何も知らないのに…口出しして。」

「謝らないで。矢吹くん、何も悪い事言ってないから」

「あぁ、それなら、もう一つだけ聞いて良い?矢田はそれで良いって思えるの?」

「良いも悪いも、二人が良ければそれで良いんだよ。それで良いの。」

「矢田さ、もっと素直になった方が良いよ。そんなに突っ張ってると疲れちゃうよ。それに可愛くない。」

私は笑って言った。

「可愛くないのは生まれつきです。」

「矢田の性格上、伊藤達と三角関係なんてなれないしな。」

「え?」

「人が良すぎるんだよ。優し過ぎる。」

「何言ってるの?私は性格悪いし、優しくないよ。私、生きるのが下手なんだ。この学校が、世界かな、私には合ってない気がする。」

「何言ってんだよ。大袈裟だな。そんな事ないよ。矢田は優しいんだよ。他人を不幸にしてまで自分が幸せになる事なんて出来ないし、逆に他人が幸せになれるなら自分を犠牲にするだろ?物事が上手くいくなら、自分が我慢すれば良いと思ってるんだよ。というか、そうしちゃうんだよ。矢田ばっかそんな我慢すんなよ。無理しなくて良いんだよ。」
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