ずっとあなたが好きでした
私は何よりも、カラーガード皆と仲を深めていたかった。

体育祭が二日後に迫り、ようやく、里加ちゃんが頂上をやる事が決定し、クラス全員で全体練習をした。

楽しかった練習が終わり、体育祭の日になった。

練習後にわいわい皆で話してた頃からだろうか…俊也もだんだん元気を取り戻していた。

最近はあまり元気のない姿を見かけなくなった。

体育祭の日、私は短距離走だけ、俊也は短距離走と男子800メートルリレーに出た。

私の短距離走はすぐに終わり、後はマスゲームだけになった。

久しぶりに朝から勉強しなくても良いから、受験勉強から解放された気分になった。

まだ9月の終わりで陽射しが強くて、暑かったけど、晴天で体育祭日和だった。

男子の短距離走になった。

私は俊也の出番を待ち望んでいた。

順番は田川くんが走って、俊也が走ることになっていた。

田川くんは1着だった。

女子の黄色の声が凄かった。

他クラスの女子も田川くんを応援していて、他クラスの男子が怒っていた。

俊也の番になった。

俊也はサッカー部の池谷くんやバスケ部の大岩くんと走る事になった。

皆誰が勝つのかドキドキしていた。

俊也も

「俺、あいつらと走るのマジ嫌なんだけど…」

と言っていた。

私のクラスの女子皆、俊也が一着になる事を祈った。

私も懸命に祈った。

俊也がスタートラインに立った。

遠く離れていたし、気のせいだと思うけど、走る直前、俊也と目が合った様な気がした。

不安そうな顔をしていた私に、俊也は笑顔を向けてくれた。

思っていたより、俊也はずっと落ち着いていた。

「位置について、ヨーイ」

「バン」

ピストルの音と共に走り出した。

最初は池谷くんが物凄く速かった、次いで、俊也、大岩くんという順番だった。

私は手で目を塞ごうとした。

でも、俊也が一生懸命走っていると思うと、その姿を目に焼き付けたかった。

俊也が追い上げていた。

「矢吹くん、頑張ってー!」

皆で応援した。

俊也と池谷くんは同じにテープを切った。

判定はどっちなんだろう?

皆が

「矢吹くんでしょ?」

「今の矢吹くんだって!」

と叫んでいた。

俊也が一着になった。

私は嬉しくて泣きそうだった。


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