ずっとあなたが好きでした
「私もびっくりしたよ。矢吹くん、どうしたんだろ?って思った。」

「うわー。恥ずかしいな。俺、話したくても話せなくて、ずっとイライラしてたんだ。終いには肩まで壊しちゃって、何もかも上手くいかなくて、荒れそうだったよ。でも矢田が慰めてくれてマジで嬉しかった。病院で寝てたら、矢田の夢見てさ、矢田にすげぇ会いたくなった。起きたら、俺の目の前に矢田がいて、夢かと思ったよ。マジで嬉しかった。」

「今度は私が恥ずかしいよ。あっこに矢吹くんが市大病院にいたって聞いた瞬間、塾サボって出てきちゃったよ。」

「笑えるな。そうだったんだ。けど、あの時は本当に悪かったな。矢田が一生懸命、俺を励まそうとしてくれてたのに、素っ気ない態度とっちゃってさ。矢田の前ではカッコ良くしてたかったんだ。情けない自分を見せたくなかった。でも、マジで後悔したよ。」

「後悔?」

「うん。確か出校日の日、どうしても矢田に謝りたくて、校門で待ってたんだ。話し掛けようとしても、矢田は走って行っちゃった。当たり前だよな。俺がせっかく来てくれた矢田を突っぱねたんだから…」

「え?私が悪いんだよ。病院で手術したばっかの矢吹くんに訳分かんない事ばかり言っちゃって…。気分悪くしても仕方ないと思ったよ。校門で会った時は、話したかったけど、気分悪くさせちゃったし、何にも良い事言えなさそうと思って逃げちゃった。それと、アトピーが酷くてあんまり見られたくなかったの。ごめんね。」

「…?」

「矢吹くんに酷い顔を見られて、これ以上嫌われたくないと思って私逃げたの。」

「矢田?」

「矢吹くんと私は世界が違うっていつも思ってた。私は矢吹くんを好きになる資格ないんだって。矢吹くんにはもっともっと私以上に合う子がたくさんいる。だから、私は好きになっちゃいけないって自分を抑制してた。でも、どんどん好きになってく自分がいて好きになり過ぎちゃったら、私どうなっちゃうんだろ?っていつも怖かった。私が矢吹くんを好きになる事は矢吹くんにとって迷惑でしかないのにって。私、中学校は大っ嫌いだったけど、教室で矢吹くんに会える時は本当に幸せだった。本当に幸せだったし、それ以上望んじゃいけないって思ってた。思ってたのかな?思おうとしてた。」

「矢田…。俺と矢田は何も変わらないよ。矢田覚えてる?」

「え?」

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