ずっとあなたが好きでした
俊也との付き合いは順調だった。

初めは緊張したりしたけど、今では普通に接する事が出来る様になった。

私は俊也が大好きだった。

俊也と居れて凄く幸せだった。

ただ、俊也の事を思うとこれで良かったのかなといつも思った。

校門で私を待っててくれた時みたいに、私と俊也でいると、周りから酷い事を言われた。

私は周りに可愛くない癖に図々しいだの上手い事やってるだの言われるのは慣れたけれど、俊也の事を変わってるだの貢がせてるだの遊び人だの言われるのは耐えられなかった。

私といる事で、俊也が酷い事を言われるのが私には何よりも苦痛で耐えられなかった。

そして、優しくて、誰よりも純粋で、繊細な俊也を傷付けないで欲しかった。

私のせいで、ドロドロしている汚い世界に俊也を巻き込みたくなかった。

私一人で十分だった。

俊也はいつも私に

「俺は気にしてないから、香は気にするな。」

と優しく言ってくれた。

私にはその優しさが余計辛かった。

もし俊也の横にいるのが私じゃなかったら、俊也は嫌な思いをしたり、彼女に気を使わなくて、すむのかな?

本当に可愛い子と俊也は付き合っていたら、みんなは俊也を祝福してくれるの?

そっとしといてくれるの?

それなら、私は別れるよ。

俊也が幸せになれるなら、私は別れるよ…。

俊也に

「別れたい」

と言った。

俊也はびっくりしていた。

「何で?俺の事嫌いになった?他に好きな奴が出来た?」

嫌いになんてなる訳ないじゃん。

俊也より好きな人なんて出来る訳ないじゃん。

私は俊也が大好きだよ。

「…。」

「香、こっち向いてよ?何が不満か言ってよ?俺に悪い所があったら直すから」

俊也は物凄く悲しい顔をしていた。

ごめんね…

でも、私といたら俊也は辛いだけだよ?

俊也は幸せになれないよ?

俊也幸せになってよ。

私はいつも俊也を想ってる。

俊也が大好きだから…

私は嘘をついた。

「俊也の事、何とも思わなくなっちゃったの。友達にしか思えなくなっちゃったの。ごめんね…」

「…。そっか。分かった。そういう事なら仕方ないよな。俺、行くわ!」

そう言って、私を置いて、俊也は去って行った。

俊也…。

力が抜けた。

私の周りに映る全ての物が、色褪せて見えた。

俊也と別れてから、私の時間は止まっていた。
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